STAMP

複雑システムの安全性向上

 組込みシステム技術協会(JASA)安全性向上委員会は、AIやIoT(含むセキュリティ)に代表される複雑システムの機能安全の課題や国際規格に関しての調査・研究を行っており、安全設計や事故分析の事例を蓄積し、技術者の啓発活動に役立てるための活動をしています。本ページでは、特に近年の複雑なシステム設計において安全性を確保するためのシステム理論に基づく事故モデル(STAMP*1)および安全性解析手法(STPA*2)にフォーカスした情報を展開します。

*1:STAMP(System- Theoretic Accident Model and Processes)

*2:STPA(System- Theoretic Process Analysis)

新着情報

●安全性向上セミナー「基礎コース in 2024」

 第1回 2025年2月19日(水)13:00~17:00:オンライン形式(Teamsを使用)
   システム理論で探るこれからの安全対策 ~STAMP/STPAの活用~  
 第2回 2025年2月26日(水)10:00~17:00:組込みシステム技術協会 本部
   事例で学ぶSTAMP/STPA(入門編)ハンズオンセミナー
 第3回 2025年3月5日(水)14:00~17:00:オンライン形式(Teamsを使用)
     事例で学ぶSTAMP/STPA/CAST(中級編)

 詳細・申込はこちらから

STAMPとは

 現代の多くのシステムは、その内部にコンピュータとネットワーク機能を持ち、高度なソフトウェアで制御されています。そして、それらのシステムやソフトウェアは加速度的に大規模化、複雑化しています。

 アクシデント(ロス:損失)の根本原因を、機器の故障や人間のオペレーションミスに置く、従来のアクシデントモデルでは、システムのアクシデントの可能性が潜在している状態(すなわちハザード)とその要因を事前に分析するための安全分析手法としては、FTA(Fault Tree Analysis)や FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)の手法が用いられてきました。しかしながら、これらの手法は、現代の相互作用が複雑なシステムにおける安全分析手法としては十分ではなく、新しいアクシデントモデルによる分析手法が必要とされました。

 STAMP/STPAは2012年、マサチューセッツ工科大学(MIT) 教授のナンシー・レブソン(Nancy Leveson)教授が提唱した、「相互作用する機能単位でハザード要因を考える」というシステム思考に基づく新しい安全分析手法です。
 Leveson 教 授 は、 著 書「Engineering a Safer World」の中で、システムの安全性は構成要素の相互作用から創発されるものであり、個々の要素を分割して分析するべきではないと述べた。
 そして、現代のシステムのアクシデントの多くは、システム構成要素の故障によって起きるのではなく、システムの中で安全のための制御を行う要素(コントローラー:Controller)と制御される要素(被コントロールプロセス:Controlled Process)の相互作用が働かないことによって起きるというアクシデントモデルを提唱しました。このモデルを「STAMP:システム理論に基づくアクシデントモデル」と呼びます。

安全性向上委員会のATAMPを活用した、安全分析支援実績

 J安全性向上委員会は、企業、大学、研究機構、IPAなど外部組織・団体との技術交流、連携を積極的に推進しており、安全分析支援も行っています。

安全性向上セミナー  

  安全性向上委員会 では、STAMPをメインテーマとしたセミナーを開催しています。

  ●安全性向上セミナー「基礎コース in 2024」
   詳細・申込はこちらから

 安全性向上委員会の活動に興味を持っていただけましたか? 
 一緒に安全性向上のための取り組みに参加し、技術者としてのスキルをさらに高めてみませんか?あなたの参加をお待ちしています!

    安全性向上委員会 HP

STAMP関連書籍

組込み系技術者のための安全設計入門(機能安全用語集付き)

社団法人 組込みシステム技術協会/
安全性向上委員会 製品安全ワーキンググループ 編著電波新聞社 発行

B5判 208頁 定価2,420円(税込)

ISBN 978-4-88554-996-0

【明治大学理工学部・向殿政男教授(工学博士)の推薦の言葉】
 時代は、製品の安全性確保を強く要請している。しかし、コンピュータを安全性実現のためにむやみに導入するのは、時として危険である。思想と技術が必要である。本書は、安全の概念と安全設計の基礎をしっかりと説明したうえで、如何にコンピュータで製品の安全性を確保するかという機能安全の考え方を紹介している。これからの安全技術者、組込み技術者の常識となる安全設計の基本を紹介している先進的な本である。

電波新聞社[組込み関連書籍]サイトへ

システム技術に基づく 安全設計ガイド

社団法人 組込みシステム技術協会/
安全性向上委員会(編)電波新聞社 発行

B5判 定価2,970円(税込)

ISBN 978-4-86406-039-4

【明治大学理工学部・向殿政男教授(工学博士)の推薦の言葉】
 安全の基本的な考え方から、最新のIoT、AI時代の新しい安全概念まで、体系的に分かりやすく、豊富な事例を含めて書かれています。すべての安全の関係者及び研究者に推薦を致します。

電波新聞社[組込み関連書籍]サイトへ

はじめてのSTAMP/STPA ~システム思考に基づく新しい安全性解析手法~

●特徴

  • STAMP初心者向けのSTPA手順解説書
  • 教科書に近い分かり易い事例を用い、勘所を交えてSTPAの手順を具体的に解説
  • 従来手法ではカバーしきれなかった複雑なシステム のハザード要因にも対応

  詳細・ダウンロード
  ※リンク先は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のページになります。

はじめてのSTAMP/STPA(実践編) ~システム思考に基づく新しい安全性解析手法~ 

●特徴

  • STAMP実践者向けのSTPA活用方法解説書
  • 教科書通りにはいかない産業界の事例を用い、STPAの効果的な活用方法を具体的に解説

   詳細・ダウンロード
   ※リンク先は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のページになります。

はじめてのSTAMP/STPA(活用編) ~システム思考で考えるこれからの安全

●特徴

  • STAMP実践者向けのSTPA活用方法解説書
  • STPAを「理解する」、「やってみる」から「あたりまえに実施する」ことを目指した事例解説
  • 安全解析を設計に反映し、安全設計を目指すことを提言
  • STAMP/STPAと、その先の安全解析の在り方に関するビジョンを提言

   詳細・ダウンロード
   ※リンク先は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のページになります。

STAMPガイドブック ~システム思考による安全分析~

●特徴

  • STAMPの背景にあるシステム理論の中心的な考え方「システム思考」について解説
  • システム思考が活かされた具体的なSTAMP分析事例解説
  • STAMP/STPAを修得するための教材紹介
  • 有識者座談会「IoT/AI時代の安全を考える」から「安全の哲学」、「今後の安全のための提言」掲載

   詳細・ダウンロード
   ※リンク先は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のページになります。

STAMPガイドブック ~システム思考による安全分析~

Nancy Leveson教授によるSTAMP理論の原典とも言える名著「Engineering a Safer World」翻訳本

発売日2024/10/11
ISBN9784320072039
体裁B5・464頁
定価8,800円 (本体8,000円 + 税10%)

   詳細・購入
   ※共立出版のHPになります。

関連リンク

IPA「複雑化したシステムの安全性確保(STAMP)」https://www.ipa.go.jp/digital/stamp/about.html

安全工学会誌 掲載論文
2024 年 63 巻 5 号 p. 322-330
複雑システムにおける事故因果分析法と対策案導出/システミック思考に基づく分析法 STAMP/CAST
岡本 圭史, 兼本 茂
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/63/5/63_322/_article/-char/ja

2023 年 62 巻 3 号 p. 187-195
システミック思考による複雑システムの安全分析
兼本 茂, 岡本 圭史
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/62/3/62_187/_article/-char/ja

2018 年 57 巻 5 号 p. 362-369
システムズ理論で考える複雑システムの安全,STAMP/STPA
兼本 茂
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/57/5/57_362/_article/-char/ja