企画:組込みIoTハッカソン2016企画WG(委員長:慶應大学白坂成功准教授)
ハッカソンとはハッカー・マラソンのこと。与えられた課題を解決するサービス/システムを、何時間/何日といった短期間に実装して、その発想やアイデア、設計/実現上の工夫、サービス/システムの出来栄えを競う競技です。
組込みIoTハッカソン2016の概要
IoT時代に変わりつつある組込みシステムの新たな可能性と方向性を実感すると共に、これからの組込みシステム業界を牽引できる「組込みIoT人材」を発掘・育成することを目指して開催します。
前回はエキジビションで実施した組込みIoTハッカソン。今回はオープン競技として開催いたします。
参加チームを募集いたします。
■参加資格
・3名以上、8名以下のチームであること
・全員18歳以上であること
・日本語で対応できること
・電子メールで連絡が取れること
・資料をPDF形式で提出できること
・開催期間中にチームメンバーの最低1名が出席できること
■参加費(税込)※代表者の所属により費用が異なります。
ET出展企業/団体またはJASA会員企業/団体:32,400円
上記以外の企業/団体:54,000円
学生:10,800円
企業スポンサーを募集いたします。
製品・サービスの無償提供
製品・サービスの無償講習会実施
その他支援(当日対応/副賞の提供など)
課題の出題方法
提示された課題ペルソナに対して、チーム毎に抽選で指定されるシチュエーション(利用状況)において、指定されるエモーション(利用者の感情)を提供できるIoTサービスを、指定されるアトリビューション(活用するデータ属性)を活用して実現いただきます。
・IoTサービスは、センサー、ネットワーク、クラウドサービスのすべてを使用することが必須の要件になります。
・また、開発したIoTサービスについて、設計ドキュメントの提出が求められます。
対象とした利用者のペルソナ記述
開発したシステムのGSN/D-CASE記述ならびにSYS-ML記述
・開発時間(開催スケジュール、後述参照):
11月15日(火)の課題発表後12:00から11月17日(木)の審査開始10:00までの46時間
スケジュール予定
- 11月15日(火)(会期前日)
- 課題発表・作業
- 11月16日(水)(会期初日)
- 作業(会議センター)・スポンサーQA
- 11月17日(木)(会期2日目)
- 審査会/受賞者講演(会議センター4F[411+412])
- 11月18日(金)(会期3日目)
- 受賞展示(展示会場)
前回の組込みIoTハッカソンの模様
最優秀賞:7営業日(sdtechチーム)
sdtechチームは創業直後にもかかわらず、ご縁に恵まれてIoTハッカソンに出場させていただき、おかげさまで最優秀賞を受賞することができました。Microsoft社、STMicro社、チェンジビジョン社の各社にはH/W、S/W、ツールなどの様々な面からのサポートをいただきありがとうございました。3日間という短い時間の中で、与えられたテーマ・制約条件の中でモノを仕上げるのは非常に大変ですが、やりがいのあるイベントでした。
IoTハッカソンは、他の多くのIoTハッカソンと異なり「企業における実開発」「ビジネス化」といった点に重点をおいています。与えられたテーマに沿って「何か面白いモノを作る」だけではなく、「きちんと製品として仕上げる」、「ビジネスとして成立させる」ことが可能なのかどうかを審査されます。「プロフェッショナルの開発」を求められるという点で非常に厳しいイベントであると同時に、だからこそやりがいを感じることができました。
sdtechは「デザイン+エンジニアリングでよりよい(利用時品質の高い)製品を創り出す」というテーマを掲げています。今回はデザイナー、エンジニアからなる4名のチームを立ち上げ、デザイン思考・デザインエンジニアリングのアプローチで開発に取り組みました。
短期間の開発という制約も良い方向に働き、「ひらめき」や「思いつきのアイディア」を「開発プロセス」にうまく乗せ「ビジネスの種」へと昇華させることが出来たのではないかと思っています。
今回のIoTハッカソン終了後、成果物を社内でブラシアップし、実ビジネスとして展開を始めています。ハッカソンの段階で製品化・ビジネス化という点をきっちり検討した(しなければならなかった)おかげもあって、非常にスムーズに進めることができています。
ハッカソン終了後、改めて技術面・サービス面を見直し整理をした上で、まずは特許を出願しました。特に新規領域においては特許化が非常に重要だと考えています。また、ハッカソンで開発をしたモノをベースに、よりしっかりとしたプロトタイプの開発を行いました。並行してビジネス化の詳細の検討を進め、必要に応じてパートナー企業と連携をしながら世に出す準備を進めています。第2回IoTハッカソンの頃にはお披露目できるのではないかと期待しています。
IoTハッカソンでは3日間という短い時間でしたが、我々も普段の開発から少しの時間離れて、他社さんのチームと一緒に思い切りイベントを楽しむことが出来ました。社内外の交流を通して開発力を鍛えることができる場であったと感じています。IoTハッカソンの今後のますますの発展を期待しています。
優秀賞:ずぼがに(永和システムマネジメント・アフレル・チェンジビジョンチーム)
IoTという自分にとって未知な領域に対して、考えて新しく一つのものを作るということが、楽しく、刺激的な体験でした。
ハッカソン初参加ということもありどうなるのか不安な点もありましたが、チーム内外いろんな方と関わり、考えを交換できたことが、後の業務に役立ちました。
また、新しいイベントに参加することへのハードルが下がったことも私にとって良い点だったと思います。
審査員特別賞:『eMONO(いいモノ)』(イーソルチーム)
イーソルチーム「組込みIoTハッカソンに参加して」
イーソルからは、ベテラン&若手の3名で構成するチーム『eMONO(いいモノ)』が出場しました。IoTの世界では“地表”側(?)のプラットフォームを得意とする、地に足着いたイーソル、初めは不安を抱きながらも、徐々に闘志とテンションを上げて臨んだ結果、「審査員特別賞」を頂きました。
eMONOチームが開発したのは、子供の見守りITランドセル「eRANZ」。ランドセルに装着したカメラで動画を撮影し、クラウド経由で保護者のスマートデバイス等にその様子をリアルタイムに配信します。またくじ引きで必須項目となったジャイロセンサは、子供が転んだときなどの激しい揺れに反応し、メッセージアプリなどで保護者に異常を伝えます。
今回組込みIoTハッカソンに参加した、若手二人の感想をご紹介します。
中内 雄大(SE事業部 第五技術部 二課)
組込みIoTハッカソンの感想と言われて真っ先に出てくる言葉としては、「出場して良かった」です。色々と大変でしたし、問題も多々ありました(笑)それでも出場して良かったと思えるのは、「日々の業務では出来ない色々な貴重な経験が出来た」ということが大きいです。
例えば、
・業務では接することがない他社の方々と意見交換ができた
・他社と同じ条件で真剣勝負をすることができた
・大人数の業界関係者の前でプレゼンテーションをすることができた
ということが挙げられます。
これらの経験を通して、今までの私にはなかった部分が大きく成長できた実感があります。最後となりますが、今回同じチームになったメンバ、サポートして下さった皆様には本当に感謝しています。本当にありがとうございました!
加藤 毅之(SE事業部 第五技術部 二課)
ハッカソンのような時間制限がある中でのデモンストレーションは、技術力の高い他の強豪チームでさえなかなか難しかったようですが、イーソルチームは会場で実際にシステムを稼働させることができました。これは素直に、日ごろの業務でもイーソルが追及している品質基準が高い故に、今回も実働するものを作ろうと志し、それを実現したことによるものだと思います。
結果としては審査員特別賞でしたが、イーソルのeMONOチームに最高得点を付けてくれた審査員の方が何人かいらしたそうです。その意味でも今回の大会参加は大成功だったと思います。皆様ご支援ありがとうございました。
今回の組込みIoTハッカソンは初開催であるためか、ルールや概念がはっきりと定まっていない部分があったように思います。来年以降は今回の課題を改善した運営で、IoTのさらなる盛り上がりに期待したいです。
IPA賞受賞チーム:進撃の豆ちゃん(豆蔵チーム)
IoTハッカソンには、豆蔵若手主体チームで出場しました。主に下記の点が豆蔵チーム(及び社内)にとって良かったと感じています。
・社内の若手のスキルの向上に役だったこと
・社内からも思わぬ応援が貰えて、社内の横断的なコミュニケーションの場を持てたこと
・普段と違う製品や技術に触れる事で参加メンバのスキル幅が向上したこと
結果として、コンテスト最中に社内のいろいろな方にご協力いただき、(議論に加わって頂いたり、技術的支援を頂いたり、お菓子を差し入れして貰ったり など)豆蔵らしいGSNの記述で賞を頂けた事を嬉しく思います。
豆蔵は、主に技術的なコンサルティングを生業とする会社です。コンテストで普段の業務と異なる製品や技術に触れたことで、参加者自身のスキルの幅が向上した事はもちろん、お客様へ提案・営業・コンサルティングの幅も広がったと実感しています。
Azureは、マイクロソフト様の手厚いサポート資料と無料券付与(メンバ各位に2年間、各月25,000円分)を頂き、料金を気にすること無く、気軽に試すことができました。さらに、Azureのサービスを利用すると、機械学習など複雑な仕組みもGUIベースで簡単に利用でき、驚きました。
STMicro様にも、複数のセンサとボードとそれらの解説を頂けたので、普段組み込みに慣れない若手社員でも簡単に利用することができました。いろいろなセンサを組み合わせて、データを取得すると言った基本的な事を素早く検証できるため、ハッカソンのアイディアのベースを作るのに役に立ちました。
チェンジビジョン様に提供頂いたGSNツールは使い勝手がよく、ハッカソン中だけでなく、メモ的にGSNを書く為のツールとして気に入っています。