マルチ・メニーコア利活用のためには、システム、ソフトウェア、ツール、ハードウェアが一体となったエコシステム確立が必須である。本セミナーでは、それらをつなぐ技術として組込みマルチコアコンソーシアムにおいて推進している活動について紹介を行う。
10:00-10:10 組込みマルチコアコンソーシアムについて
組込みマルチコアコンソーシアムについて、概要および活動状況について紹介する。
10:10-10:45 SHIM: ソフトのための国際標準ハードウェアモデル記述
SHIM (Software Hardware Interface for Multi-manycore)は、 ソフトウェア視点でのハードウェア抽象化記述であり、2015年に Multicore Associationにおいて国際標準化された。仮想環境におけるハードウェアアーキテクチャや性能情報に対する標準記述として 期待が高まっている。本講演ではSHIMの概要と利用法、今後の動向について概説する。
枝廣 正人国立大学法人 名古屋大学 大学院情報学研究科 システム学専攻 教授/ 組込みマルチコアコンソーシアム 会長
プロフィール 1985年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、NEC入社。EDA向けアルゴリズムの研究開発に従事。元岡賞、情報処理学会坂井記念特別賞、電子情報通信学会業績賞、関東地方発明表彰発明奨励賞、科学技術分野の文部科学大臣表彰などを受賞。1999年 プリンストン大学Ph.D. 1993年より組込みマルチコアの研究開発に従事。2000年 ISSCCにて1000MIPS@1W(当時世界最高性能)の組込み向けマルチコアMerlotを発表。2009年 携帯電話向け低消費電力化に関し地球環境大賞経済産業大臣賞を受賞。2011年より現職。モデルベース開発かつマルチ・メニーコア時代の設計方法論およびアルゴリズムについて研究。
10:45-11:20 MBP: モデルベース並列化の実用化
マルチ・メニーコアチップを導入し、それを有効に利用するソフトウェアを開発するためには、OSなどのプラットフォームに加え、その上で動作するアプリケーションの 並列化支援ツールも重要な要素となる。 本講演ではイーソルが名古屋大枝廣研究室と共同開発しているMBP(Model Based Parallelization)技術を実用化したeMBPの特徴と提供する機能、利用シナリオ、その効果について今後の展望を交えながら紹介する。
藤本 洋イーソル株式会社 数理モデル・エキスパート
プロフィール 研究開発系ソフトウェアエンジニア。様々なタイプのソフトウェア研究開発の経験を持つ。また、研究機関による研究成果の実用化に関わる。個人的には数理モデルのソフトウェア実装、関数型/並列処理指向のプログラミング(言語)、形式手法に興味をもつ。2015年10月から現職。現在、モデルベース並列化ツールの実用化開発に従事。
11:20-12:00 MCoT マルチコア・オブ・シングス? マルチコア適用ガイド策定に向けて
国内外を問わず、車載マルチコアは本格的な普及期を迎えようとしている。一方、「設計および検証のメソドロジ」「ツールおよびツールチェーンの選定方法」「ガイドやサンプルなどの参考図書」「海外を含めた先行事例の紹介」など、車載開発の推進に必要と思われる情報やデータの情報発信はこれからである。これらのテーマに対し、「第三の活動軸=新WG」を発足し、活動の成果物を広く配信することに挑戦する。この構想を紹介する。
岩井 陽二ガイオ・テクノロジー株式会社 取締役
プロフィール ソフトウェア技術者から技術営業に転向。車載関連の製造メーカーをはじめとし、国内外のソフトウェア開発のキーパーソンと交流を持つ。2000年よりツール企画および推進を兼任。2004年より事業推進担当執行役員として事業全般に関わる。近年は取締役としてエンジニアリングサービス部門を分掌するが、仮想検証やモデルベース開発、安全コンセプト記法研究など、業界活動は多岐にわたる。