ハードウェア開発は、設計品質や生産性の向上が永遠のテーマであり、近年は安全性の考慮が求められ、システム設計においては、実機と仮想の混成検証アプローチによって開発過程での品質問題を早期に解決することが命題となっている。本トラックでは、これらの課題を解決するための具体的な設計・検証手法や開発テクニックについて、電子設計を支えるベンチャーEDAと、ソリューション・設計環境のプロバイダーが一堂に介し、熱く語る。
13:00〜13:45
要求仕様からハードウェア開発の生産性を上げる手法
〜 MBSEからRTL・SPICEモデルまでを繋ぐ 〜
自動車システムはEV/HEV化や自動運転対応のため複雑化の一途を辿っており、短期間に効率よく設計・開発を行うためMBSEやMBDの導入が進められている。 本発表では、いわゆるV字開発プロセスにおいて、要求仕様からRTL・SPICEレベルのハードウェア設計とソフトウェア設計の協調した環境を実現し、仕様の共有だけでなく、メンテナンス性、再利用性、およびトレーサビリティを向上する開発メソドロジーを紹介する。
澤村 明寛
オーバートーン株式会社 開発部 部長
1991年、早稲田大学電気工学科を卒業。同年、日本電気(株)入社。以来、HPCサーバ、ハイエンドサーバの開発に携わる。2013年オーバートーン(株)入社し、現在UML to RTL技術開発に従事。
瀬谷 修
株式会社モーデック CDK事業部 執行役員
1983年に(株)デンソーに入社。以来、車載用センサ、デバイス設計及びデバイスレベルからシステムレベルまでの幅広い設計環境開発に従事。2017年より(株)モーデックに在籍しVHDL-AMS/SPICEモデル開発に従事。自動車技術会の国際標準記述によるモデル開発・流通検討委員会の幹事として「非因果モデリングツールを用いたFMIモデル接続ガイドライン」策定に参画した。
13:50〜14:30
ハードウェア設計品質の向上と安全性を考慮した検証テクニック
〜 第三者検証のトップベンダーが語る 〜
ハードウェアの設計品質向上のためには、機能仕様書の品質を高めることが重要である。本講演では、検証エンジニアの視点から記載すべき内容と誤解のない仕様書の書き方を解説し、time-to-marketを意識した検証を実現するための取り組みを紹介する。 また、電子部品における機能安全の適用範囲拡大の背景を受け、安全規格に対応したLSI開発の重要性が高まる動きを踏まえて、LSIのデジタルシステム設計・検証における検証動向とテクニックを紹介する。
野村 朋聡
CMエンジニアリグ株式会社 設計・検証サービス部 部長
1997年-2003年まで、半導体商社にてASIC開発に従事し、VHDL、DFT、STA、論理合成による設計手法を経験。その後、画像系、モータ制御系LSI向けのモジュール開発、大規模SoCの開発に携わり、SystemVerilog/UVMでのランダム検証、PSLやSVAでのアサーションベース検証など第三者視点での検証業務を経て、検証部隊の統括に至る。
浜谷 敏行
ベリフィケーションテクノロジー株式会社 取締役CSO
1988年鐘紡(株)入社。鐘紡の多角化戦略の一環として半導体開発に携わる。 2004年ベリフィケーションテクノロジー(株)に入社。CTOとして第三者検証技術の技術戦略の構築と展開を実施。2016年にCSOに就任。新規検証技術のリサーチと事業化推進を担当。
14:35〜15:15
システム設計における実機検証と仮想検証の使い分け
〜 ハイブリッド検証・故障注入など様々な手法の活用 〜
電子機器開発におけるソフトウェア検証は、限られた期間での品質確保が困難になっている。 そこで実機レスで行う仮想検証は有効な解決手段であり、実機では再現が難しい故障状態の検証としても注目されている。 更に仮想モジュールとプロトタイピングFPGAモジュールを組み合わせて検証を行う手法も提唱されている。 本講演では、仮想とFPGAを組み合わせたハイブリッド検証、効果的な故障注入などの活用方法について解説する。
本垰 秀昭
株式会社インターバディ 代表取締役
1980年、株式会社トウール社入社、EDAツール開発、組込ソフト開発に従事。 2002年、TOOL株式会社代表取締役社長、高速レイアウトビューアの開発及び事業化。 2015年、株式会社インターバディ設立、代表取締役(現任)、電子設計、組込ソフト向けソリューションを展開。 ET実行委員会、仮想マイコン応用推進協議会、日本EDAベンチャー連絡会等にて活動中。
辻 智之
S2Cジャパン株式会社 代表取締役
自動車部品メーカーにて電装品開発業務を経験、1992年に図研に転職後は、各社にてFPGAを用いたエミュレータやプロトタイピングシステムのサポート、製品企画、販売に一貫して従事。 2014年より現職にて国内顧客向けにS2C社製品の販売・サポートを行う。
15:20〜15:45
エンジニア向けクラウド環境の嘘と本当
〜 エンジニア・スキルシェアへの挑戦 〜
LSI設計・電子機器開発環境をクラウドへ移行する場合、考慮すべき項目が多数有る。 安易にクラウドへ移行すると、開発効率の低下、コストやメンテナンスの増加を引き起こしてしまう事も多い。逆にシステム構築を上手く行えば、環境移行に加え、テレワーク、スキルシェアなどの新たな武器を得ることが出来る。 本講演では、考慮すべき項目と、クラウドベースLSI設計・電子機器開発環境によって生まれるスキルシェアについて述べる。
井上 善雄
株式会社CDC研究所 CEO&CTO
昭和35年8月生 東京電機大学電気通信工学科卒
三菱電機入社後、三菱電機アメリカへ出向。高速SoC向けEDA設計システムの開発をEDAベンダと行うと共に設計手法の展開を行う
ルネサステクノロジへの転籍を経て、ルネサスエレクトロニクスで従事
平成28年4月より、 株式会社CDC研究所 代表取締役 兼 CEO&CTO
共著にVerification Methodoloy Manual for Low Power等