開放系総合信頼性の思想と技術 IoT・AI時代に、なぜ開放系総合信頼性が必要か?
IoT・AI時代の総合信頼性は「想定内」に留まらず、「想定外」事象に対しても有効でなければならない。一方で、想定外事象に「完全」に対処し、「絶対」に不具合が起こらないことを保証することは不可能である。それではどのように「想定外」事象に「科学的」に対処したらよいのか?「開放系総合信頼性」では、考え方の基本を利害関係者の「合意形成」と「説明責任の全う」に置き、「変化対応」プロセスと「障害対応」プロセスを備えることとした。
所 眞理雄
一般社団法人 ディペンダビリティ技術推進協会 理事長
プロフィール
元慶應義塾大学教授。(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所創立者。 ソニー(株)執行役員上席常務、同CTO、などを歴任。専門は計算システム、科学技術論。一貫して開放系科学を推進し、2012年に(株)オープンシステムサイエンス研究所を設立し、代表取締役社長。2013年に(一社)ディペンダビリティ技術推進協会(略称DEOS協会)を設立して理事長に就任し現在に至る。
開放系総合信頼性規格 IEC 62853 の本質 AIを活用したサービスの責任を明らかに
2018年6月に国際標準規格となったIEC 62863は何を目的とした規格でなぜ今このような考え方が必要となったのかを説明する。システムは多くのシステムから成り立ち複雑化し、要求は高度化し、一時のサービス停止も許されないITを基本とするシステムにおいて障害への対応を迅速化するにはその障害のもととなるインシデントを前もって想定し、その備えをしておくことが関係者の安心につながりディペンダブルとなる。本講演ではその考え方がいかに生まれどのように規格に組み込まれているかを解説する。
森田 直
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 SDGsグループ OESプロジェクト オープンシステムストラテジスト
プロフィール
ソニー株式会社入社後、VTRの開発設計製造に関わり、その後3.5'FDの設計、生産設備開発、速電子部品装着機の開発を経てFeliCaの開発に参加、おサイフケータイ用チップの開発導入を行い、NFC国際規格の策定と通信互換性確保に向けたNFCフォーラム活動を推進、同時にJST CREST DEOSプロジェクトの推進委員として関わり一般社団法人DEOS協会では標準化部会の副主査として参加、同時にソニーCSLにて自然エネルギーの有効活用研究に参加し現在に至る。
自動運転の社会受容性とIEC 62853 課題と解決へのアプローチ
自動運転の普及に向けて,新しい技術開発や実証実験等の取り組みが活発に進められている。今後,自動運転が安全かつ安心して利用され,一般社会に広く普及するためには,社会受容性に関する議論とその醸成が不可欠である。
本講演では,自動運転の社会受容性とは何か?といった基本的な内容から,社会受容性の醸成に向けた課題を整理して紹介する。さらに,IEC 62853の考え方をベースとして,それらの課題の解決へのアプローチについて考える。
松原 豊
国立大学法人名古屋大学 大学院情報学研究科 准教授
プロフィール
名古屋大学大学院情報学研究科准教授。2006年名古屋大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了。同大学大学院情報科学研究科附属組込みシステム研究センター研究員、助教等を経て、2018年より現職。2015年4月〜9月米国ワシントン大学及びカリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員。組込みシステム向けのリアルタイムOS、リアルタイムスケジューリング理論、安全技術、セキュリティ等の研究に従事。TOPPERSプロジェクト運営委員、セキュリティキャンプ全国大会講師、ディペンダビリティ技術推進協会自動車応用部会主査等、産学連携活動にも尽力。博士(情報科学)。
IEEE、USENIX、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。